宗主国の皇女は、属国で幸せを見つける

オルランドとサレハが
アルドレインを不在にしていたある日、
フィロメナは王太后からお茶会に招待された。

招待状を目にした瞬間、
フィロメナの手が震えた。
しかし、断るわけにはいかない。
断ったら何を言われるか考えただけで恐ろしい。
マーゴたちに手伝ってもらって準備をし、
王太后のサロンに向かう。

すると扉の前で待っていたのは
数人のご令嬢たちだった。
誰一人顔と名前が一致しないが
サレハの取り巻きたちなのは分かる。
サレハの近くでよく顔を見るメンバーだからだ。

「ごきげんよう、王妃様。」
メンバーの中でリーダー格のようなご令嬢が
フィロメナに挨拶をする。
「ごきげんよう。皆さんも王太后陛下のお茶会に出席するのですか?」
フィロメナの問いに
令嬢たちは顔を見合わせてクスクス笑う。
「王太后陛下のお茶会なんてありませんわ。」
「あの招待状は私たちが王妃様を呼び出すために作ったのですもの。」
「こんな手の込んだことをしなくても、私にお話があるなら直接来てくださればよろしいのに。」
「それが出来るなら私たちだってこんなことしませんわ。」
令嬢たちはフィロメナを取り囲み、
次々と喋り出す。