宗主国の皇女は、属国で幸せを見つける

「王妃は皇帝の第7皇女でしょう。」
オルランドの言葉を
クレオールは鼻で笑う。
「フィロメナは確かに皇帝の娘かもしれないが、私の妹ではない。私の兄弟は姉のファティマと妹のラジワ、弟のビンセントの3人だけだ。」
いずれも同じ母から生まれた者たちである。

つまり、クレオールはフィロメナのことも
切り捨ててみせたのだ。
本人の目の前で、なんの躊躇いもなく。
（ますます私がこの国の王妃である理由がなくなってしまったわ。）
王太后からの厳しい視線を感じながら
フィロメナはなんとか平静を装っていた。
今後ますます
王太后からの嫌がらせは増していくだろう。

「突然のことにまだ心の整理がつかないでしょう。急ぐ話でもありませんし、具体的なことは今後詰めていきましょう。」
アルドレイン側の拒否反応を
分からないはずはないだろうに、
クレオールは涼しい顔だ。
有無は言わせないという圧力を感じる。
クレオールが投下した爆弾により、
その後はまるでお通夜のような
静かな晩餐となってしまったのだった。