宗主国の皇女は、属国で幸せを見つける

第一皇女ファティマ。
幼い頃から学問や芸術に驚くべき才能を発揮し、
彼女が男だったら
間違いなく皇太子になっていただろうという女性。
皇帝の数多いる皇子皇女の中で
最も皇帝からの寵愛を受けており、
皇帝が手元に置いておきたいがために
ただ一人政略結婚を免れるという
特別待遇を受けた人物だ。

皇后は誰よりも早く
皇子(マルヴァリス)を産んだことで
皇后の座を得たが、
その皇子を失ったことで
これからは影響力を失っていくだろう。
これから後宮で幅をきかせるのは
クレオールの派閥で間違いない。

「私の方で得た情報でも、新皇太子クレオールはなかなかの切れ者だと聞いています。マルヴァリス皇太子派だった人間をどんどん切り捨てて、着々と地盤を固めているようです。」
オルランド同様、
レナートも厳しい顔だ。
「奴らがどんなことを言ってくるか、あらゆる状況を想定して対策を立てろ。」
「はっ。至急、大臣たちと会議を開き、対策をまとめます。」
レナートが退席し、
オルランドとフィロメナの2人きりになる。