「クレオール殿はどんな人なんだ。」
オルランドがフィロメナに尋ねる。
「クレオールお兄様はマルヴァリスお兄様よりは常識的な人です。でも合理的というか、目的の為なら非情になりきれる人というのでしょうか。人柄は良いとはいえないと思います。」
フィロメナはわずかな記憶をかき集めて
クレオールを思い出す。
いつも気難しそうな顔をして
黙って本を読んでいる人。
喋るのが好きではないのか、
彼の声を聞いたことがない。
「マルヴァリスとは対立していたのか?」
「詳しくは知りませんが仲良くはなかったはずです。母親同士が対立していますので。」
ドラゴニア帝国の後宮は大きく2つの派閥に分かれていた。
皇后を中心とする派閥と、
クレオールの母親を中心とする派閥だ。
後宮の人間はみな、
このどちらかの派閥に所属することになる。
本来なら皇后が後宮の頂点になるのが普通だが、
クレオールの母親の方が実家の影響力が強いうえに
クレオールの姉である第一皇女が大変な才媛で、
皇帝の寵愛を受けて
帝国の運営にも積極的に関わっていることから、
クレオールの母親は
皇后にも引けを取らない影響力を持っていた。
オルランドがフィロメナに尋ねる。
「クレオールお兄様はマルヴァリスお兄様よりは常識的な人です。でも合理的というか、目的の為なら非情になりきれる人というのでしょうか。人柄は良いとはいえないと思います。」
フィロメナはわずかな記憶をかき集めて
クレオールを思い出す。
いつも気難しそうな顔をして
黙って本を読んでいる人。
喋るのが好きではないのか、
彼の声を聞いたことがない。
「マルヴァリスとは対立していたのか?」
「詳しくは知りませんが仲良くはなかったはずです。母親同士が対立していますので。」
ドラゴニア帝国の後宮は大きく2つの派閥に分かれていた。
皇后を中心とする派閥と、
クレオールの母親を中心とする派閥だ。
後宮の人間はみな、
このどちらかの派閥に所属することになる。
本来なら皇后が後宮の頂点になるのが普通だが、
クレオールの母親の方が実家の影響力が強いうえに
クレオールの姉である第一皇女が大変な才媛で、
皇帝の寵愛を受けて
帝国の運営にも積極的に関わっていることから、
クレオールの母親は
皇后にも引けを取らない影響力を持っていた。



