宗主国の皇女は、属国で幸せを見つける

まぁ、強いて言うなら
オルランドが唯一のフィロメナ派か。
「王妃は既にいる。」
の一点張りで周囲の意見をはねつけているらしい。
あの夜から
オルランドはフィロメナに対して
時折優しさを見せてくれるようになった。
フィロメナを庇ってくれるような言動も
素直に嬉しくて、こそばゆい。
少しは2人の距離が近づいたんじゃないかと思う。
でも、そんなゆっくりすぎる2人を
はるかに上回るスピードで
周囲の環境は悪化していった。

ドラゴニア帝国が再び圧力を強めてきたのだ。
マルヴァリスがいなくなったことにより、
帝国内では誰を皇太子にするかで
内政が大混乱した。
マルヴァリス以外にも皇子は何人かいたし、
実はマルヴァリス自身にも息子がいた。
上層部の者たちの思惑が絡み合い、
様々な権謀術数が繰り広げられた末に
新たな皇太子に立ったのは第4皇子クレオールだった。

フィロメナはクレオールと
ほとんど関わりがなかったが
マルヴァリスよりは常識人だった記憶がある。
そのクレオールが立太子の挨拶として
アルドレイン王国を訪れるとの報せが来た。