宗主国の皇女は、属国で幸せを見つける

マルヴァリスに続いて、
ユリアナが率いる軍艦がやって来た時に
『今回の戦争、ドラゴニア帝国ヤバいんじゃないの？』
という噂が囁かれ始めたが、
最初は冗談半分で言われていたに過ぎなかった。
しかし、
その冗談は現実になってしまったのだ。

すなわち、
フィオルガルデ連邦が
世界最強のドラゴニア帝国を破ったのである。
そればかりか皇太子と皇女が
フィオルガルデ連邦で消息を絶ってしまった。
このニュースは帝国に激甚をもたらし、
帝国に苦しめられていた属国は
今がチャンスと反旗を翻し始めた。
アルドレイン王国もその1つだ。

世界有数の貿易港として栄えているアルドレインは
金銭的に困窮しているわけではなく、
帝国への依存度も低いため、
独立しても全く痛手はない。

そして二度と帝国に侵略されないよう、
他の大国と強固な同盟を結ぶ必要があった。
そう、ヴァリニア王国とである。
フィオルガルデ連邦と手を組んで
ドラゴニア帝国を打ち破ったヴァリニア王国は
その影響力をどんどん強めている。
多くの国が友好関係を強化したいと
熱視線を送っていた。
特に国王エドリックが独身なので
その妻の座をめぐって
熾烈な外交が繰り広げられているらしい。