宗主国の皇女は、属国で幸せを見つける

フィロメナは御礼を言って受け取ると
目尻にそれを押し当てた。
涙で化粧が崩れて、
きっと今の自分はピエロみたいな顔をしているだろう。
部屋に戻ったら、
綺麗に化粧を落として冷やさなければ。

オルランドはただただ寄り添うように
そっとフィロメナの肩に手を回し、
自分の肩を貸してくれた。
「陛下のお召し物が汚れてしまいます。」
「構わない。洗えば綺麗になる。」
オルランドからは柑橘系の高貴な香りがして、
フィロメナの心を落ち着かせていく。
(素敵な香り。ネロリかしら?)
心を落ち着かせるその香りは
次第にフィロメナを眠りの世界へと誘った。

フィロメナは王宮に到着しても目覚める様子がなく、
迎えに出ていたマーゴが
どうしましょうという目でオルランドを見上げた。
「起こすのもかわいそうだ。私が運ぼう。」
オルランドはそう言って
フィロメナをサッと抱き上げると
フィロメナを部屋まで運んで
その身をそっとベットに横たえる。

「おやすみ。良い夢を。」
オルランドはフィロメナのおでこに
静かにキスを落とすと
その後をマーゴに託し、
フィロメナの部屋を後にした。