宗主国の皇女は、属国で幸せを見つける

ドラゴニア帝国の軍艦から下船し、
待機していた馬車に乗り込む。
馬車に乗った後も
オルランドはフィロメナの手を離さなかった。

「皇太子は王妃の兄だろう?いつもあんな聞くに堪えないことを言われるのか?」
オルランドの問いにフィロメナは自嘲したように笑う。
「皇太子殿下が妹と認めるのは、同じ母から生まれたユリアナお姉様だけです。あの人にとって私は政略の駒で、家族でも何でもないんですよ。」
「そうなのか。だが王妃がこれ以上侮辱されるのは、私としても心苦しい。子ができれば、王妃の立場も良くなるだろうか。」

フィロメナはオルランドをまじまじと見る。
私のために、
望んでいないだろう子作りを提案してくれているのか。
「陛下は自分の御心を大事になさってください。私は大丈夫ですから。」
「だが・・・」
「子が出来たとして、男の子ならドラゴニア帝国の干渉はより一層ひどくなるでしょう。女の子なら早く次を産めと言われるだけです。ドラゴニアの血を引く子が王家にいるのは、アルドレインのためにも良くありません。子ができない方が良いのです。」
「ドラゴニア帝国の存在にかかわらず、私は国王だ。世継ぎを作る義務がある。」