宗主国の皇女は、属国で幸せを見つける

フィロメナは何も答えられなかった。
涙が溢れないように
歯を食いしばることで精一杯。
すると、そんなフィロメナを励ますかのように
オルランドの手がフィロメナの手に重なり、
ギュッと握ってくれた。
まるで「大丈夫だ。」とでも言うように。

「皇太子殿下、悪酔いが過ぎますよ。」
あまりの物言いにオルランドも苦言を呈する。
けれどマルヴァリスは意にも介さない。
「いやいや、普通ならエスメリアの血を引く女に男がそそられないわけないだろ。良いよな、エスメリアの女は。出るとこ出てて、引っ込んでるところは引っ込んでる。最高だ。そうだ、いい機会だから、お前がどんな具合か俺が確かめてやるよ。」

母親が違うとはいえ、
半分血の繋がった妹になんてことを言うのだ。
これにはオルランドもさすがに我慢ならなかった。
「殿下、いくら殿下と言えどこれは言い過ぎです。私の妻にそのような物言いは辞めていただきたい。」

「あ!?お前誰に口きいてるんだ。俺がお前の女を躾け直してやるって言ってんだよ。ありが・・・たく、思へ・・・っ。」
酒の飲み過ぎで
とうとうマルヴァリスは酔い潰れてしまった。
そんなマルヴァリスを冷たい視線で見下ろした後、
オルランドはフィロメナの手を握って立ち上がる。
「こんな胸糞悪い場所からとっとと出ていくぞ。」