宗主国の皇女は、属国で幸せを見つける

「ありがとう、マーゴ。私のために泣いてくれて。」
自分が一番お辛いだろうに、
王妃様は私の背中を優しくさすってくれる。
自分よりも他人のことを思いやれる、
こんなにも優しい人だから
幸せになってほしいと思うのだ。

「あと何回我慢したら、帝国は諦めてくれるのでしょうね。」
「子ができないのは、王妃様のせいではございません。こんなにも優しくてお美しい方を妻に持ちながら、無関心を貫く国王陛下に問題があるのです!」
「仕方ないわよ。国王陛下からすれば、私は帝国から無理やり押しつけられた女。好きで結婚したわけではないのですから。それに私も子は望んでいません。」
「王妃様、そんな悲しいことを。」

国王陛下は決して冷たい人間ではない。
それは直に仕えてきたからわかる。
結婚前に想い人がいたというわけでもないし、
もう少し王妃様に歩み寄ってくれても良いではないか。
私は最近は
国王陛下にも強い憤りを感じるようになっていた。
王妃様を蔑ろにし続けるなら、
いっそのこと王妃様を自由にさせてあげてと思う。

私が心からお慕いし、忠誠を誓う人が、
心から幸せになる日は来るのだろうか。