「聞いていたの?ごめんなさいね、お見苦しいところをお見せしてしまったわね。」
レナートからハンカチを受け取り、
フィロメナは涙をぬぐう。
涙で化粧は崩れてしまっていた。
「私はね、ドラゴニア帝国から嫁ぐ時に一刻も早く王子を産むようにと言われてきたの。でも私は、産みたくない。愛されて、望まれて生まれてきたわけではない子どもがどんなに寂しい思いをするのか、私はよく知っているから。お母様は私を愛してくれたけど、皇帝陛下は私を愛してはくださらなかった。私は自分の子どもに同じ思いをしてほしくない。」
「俺なら、俺だったらそんな思いはさせません!俺が貴女の・・・」
半ば勢いで
フィロメナに思いを告げようとしてしまったが、
それはフィロメナ自身によって遮られてしまう。
「それ以上、言ってはいけませんよ。私はあなたが何を言おうとしたのか分からないけれど、口にしてしまったら取り返しがつかないわ。」
フィロメナは涙でぐしゃぐしゃの顔で
にっこり微笑んだ。
「もうこんな顔では戻れないわね。国王陛下には体調不良で退席すると伝えてくださる?」
「はい、かしこまりました。では目立たぬよう、こちらに。」
会場を通ると目立ってしまうので
レナートは裏口通路を案内する。
「もし、私が王妃でもなんでもないただの村娘になったとして、まだあなたが同じ気持ちなら、その時に先ほどの続きを教えてくれると嬉しいわ。」
フィロメナはそう独り言のように呟いて、
自室へと戻っていった。
レナートからハンカチを受け取り、
フィロメナは涙をぬぐう。
涙で化粧は崩れてしまっていた。
「私はね、ドラゴニア帝国から嫁ぐ時に一刻も早く王子を産むようにと言われてきたの。でも私は、産みたくない。愛されて、望まれて生まれてきたわけではない子どもがどんなに寂しい思いをするのか、私はよく知っているから。お母様は私を愛してくれたけど、皇帝陛下は私を愛してはくださらなかった。私は自分の子どもに同じ思いをしてほしくない。」
「俺なら、俺だったらそんな思いはさせません!俺が貴女の・・・」
半ば勢いで
フィロメナに思いを告げようとしてしまったが、
それはフィロメナ自身によって遮られてしまう。
「それ以上、言ってはいけませんよ。私はあなたが何を言おうとしたのか分からないけれど、口にしてしまったら取り返しがつかないわ。」
フィロメナは涙でぐしゃぐしゃの顔で
にっこり微笑んだ。
「もうこんな顔では戻れないわね。国王陛下には体調不良で退席すると伝えてくださる?」
「はい、かしこまりました。では目立たぬよう、こちらに。」
会場を通ると目立ってしまうので
レナートは裏口通路を案内する。
「もし、私が王妃でもなんでもないただの村娘になったとして、まだあなたが同じ気持ちなら、その時に先ほどの続きを教えてくれると嬉しいわ。」
フィロメナはそう独り言のように呟いて、
自室へと戻っていった。



