宗主国の皇女は、属国で幸せを見つける

「あのさ、俺見ちゃったんだよね。」
「・・・何をですか?」
「王妃さまの本当の顔。」
レナートの言葉に、
マーゴはサッと表情を変えたが、
すぐに何事もなかったかのように表情を戻す。

「何がお聞きしたいのですか?」
「いや、なんでまるで素顔を隠すように濃い化粧をしているのかな?って気になって。元のお顔で十分お美しいのに、わざわざキツい印象に仕上げるんだろうって。」

マーゴは悲しい表情で顔を伏せ、
しばらく何かを考えた後、
おもむろに口を開いた。
「私も何度も濃い化粧は必要ないと申しました。けれど王妃さまは聞き入れてはくださりませんでした。濃い化粧は王妃としての鎧なんだと仰って。」
「鎧とは?」
「王妃さまはご自分のお顔がお嫌いなんです。」
「なんで!?」
レナートは思わず大声を出す。
あれほどの美貌の持ち主は
アルドレインではそうそうお目にかかれない。
普通の貴族令嬢なら、
その美貌を隠すどころか見せびらかすだろうに。

「レナートさんは、王妃さまのお母様がどこの国の出身かご存知ですか?」
「エスメリア王国だよね。それと濃い化粧が関係あるの?」