宗主国の皇女は、属国で幸せを見つける

フィロメナの素顔を知って以来、
レナートはついついフィロメナの姿を
目で追うようになっていた。
朝食の席でも無意識にフィロメナを見つめてしまい、
彼女から「何か?」と聞かれることもしばしばだ。

朝食の席に姿を現すフィロメナは
いつも通り濃い化粧。
けれど
レナートにはあの可愛らしい素顔のフィロメナが
目に焼き付いて離れない。
仕事中も気がつけば心ここにあらずになることもあり、
「お前、最近変だぞ。」と
オルランドから指摘される始末だ。

1人で悶々と考えていることに
耐えられなくなったレナートは
マーゴと話をしてみることにした。
「レナートさんからお茶に誘われるなんて、珍しいこともあるもんですね。」
レナートに勧められた紅茶をすすりながら
マーゴが話しかける。
もともと同僚で親しかったので
誘い出すのはそんなに難しいことではなかった。
「まぁ、お互いに国王夫妻の側近だろ?たまには情報交換もいいかなと思ってさ。」
そう言って、仕事の話でひとしきり盛り上がった後、
レナートは本題を切り出した。