宗主国の皇女は、属国で幸せを見つける

「王太后陛下、お待たせいたしました。」
何の感情も伴わない様な低い声で
フィロメナは挨拶をする。
義母に会うときはこんなに緊張するものなのだろうか、
友達のいないフィロメナには分からない。

「呼び出して悪かったわね。さ、座って。」
王太后に勧められるがままに
フィロメナは席につく。
なんでサレハ王女までいるのだろう。

「久しぶりにあなたともお話してみたいなと思って。サレハもなんでしょう?」
「えぇ、私も同じことを思っていましたのよ。せっかく同じ王宮で暮らしていますのに、フィロメナさんったら王太后様や私のサロンにお顔を出してくださらないのですもの。」

(そもそも誘われたことなんてないけど。)
という本音を飲み込んで、
フィロメナは微笑を浮かべる。
「それは申し訳ございませんでした。地方公務なども任せていただいて忙しくしており、宮廷にいるときも次の公務の準備がありましたから。」
「最近、宮廷を不在にすることが多いとか。」
「なかなか日帰りで訪問することが難しい場所もありますから。」
「まぁ、公務に励んでもらうことは王妃として間違っていないと思います。1つ忠告をしておきたいのは、」