宗主国の皇女は、属国で幸せを見つける

サレハ王女も
王太后の提案は悪くなかった様である。
再従兄のオルランドは
容姿も整っているし、頭も良く、
女性を邪険に扱うような男ではない。
外国に行って母のような目にあうよりは
オルランドと結婚して王妃になる方が全然良い。
半年前に嫁いだアドリアーナは
夫と上手くやれているようだが
そんな賭けに出るより安全策を取りたかった。

この国で1番発言権の強い女性である
王太后の推薦であればまず間違いないだろうと
思っていたら
肝心のオルランドから反対されてしまった。
多少は落ち込んだサレハだったが、
別にオルランド自身に恋していたわけでもないので
そこまで引きずることはなかった。

対照的に諦めが悪いのは王太后だ。
国王夫妻の仲がよろしくないということで
まだ希望は捨てていない。
フィロメナを追い出す口実を掴むその時を
虎視眈々と狙っていた。