宗主国の皇女は、属国で幸せを見つける

そんな子離れできない王太后に
娘のようにくっついているのがサレハ王女。

彼女は祖父が王弟であり、
オルランドとは従兄妹関係にある。
彼女の母は外国の王家に嫁いだものの
夫からDVにあい、
サレハ王女を連れて戻ってきた。
もともと王太后とは親友で
娘たちの年も近かったことから、
サレハ王女も王太后に非情に可愛がられて育った。

サレハ王女の母は
フィロメナが嫁いでくる少し前に病気で亡くなり、
娘のことを王太后に託していた。
親友が嫁ぎ先でひどい目にあったことを
知っている王太后は
親友の願いを叶えると固く誓う。

身元が完璧に保証できて、
自分の目が届く範囲にいる独身男性。
そんな相手、
わざわざ探さなくてもそばにいるじゃない。
自分の息子と親友の娘が結婚するなんて、
とっても素敵なことじゃないの。
それにサレハはマナーも完璧だし、
この国の王妃としてなんら申し分ないわ。
そう思った王太后はオルランドに
サレハを妃にしなさいと進言した。

しかし、オルランドの答えはNO。
サレハはアドリアーナと同じで妹だと思っているし、
ドラゴニア帝国からの命令は断れない。
自分に従順なはずの息子から反対されて
多少は動揺を見せたものの、
王太后は簡単には引き下がらなかった。
しかし結局、
ドラゴニアの要望を拒否することはできず
オルランドはフィロメナを妃に迎えたのだった。