宗主国の皇女は、属国で幸せを見つける

「何やら今日は楽しそうですね。良いことがあったのですか？」
自室に帰ってきたフィロメナが
いつもと違ってウキウキしたいたので、
マーゴもついつい声をかける。

「えぇ、パーティーでびっくりする出会いがあったの！」

出会いとはなんだろう？
マーゴは首をかしげると同時に落胆した。
マーゴはてっきり
オルランドとの仲が進展したのかと期待していたが、
どうやら違うらしい。
マーゴはもともと
オルランドの補佐をしていた女官の1人で
フィロメナの嫁入りを機に、
王妃付き侍女に配置換えとなった。
フィロメナの本当の姿を知るからこそ、
国王夫妻には相思相愛になってほしいと望んでいる。

「出会いとは具体的に誰とお会いしたのですか？」
「私の母の祖国エスメリア王国の外交官がいらしていて、お話する機会があったのよ。お祖父様が私を案じてくださっているんですって。私を気にかけてくれる人がいるなんて、とっても嬉しいわ。」
「それはようございましたね、、、」
フィロメナの返答にマーゴは切なくなった。
気にかけてくれる人がいて嬉しいなんて、
夫から十分に愛されている女性なら
きっと出てくるはずのない言葉だろう。

「今日はとても良い気分だから、気持ちよく眠れそうよ。あなたもしっかり休んでね。」
フィロメナは落ち込むマーゴと対照的に
天使のような素顔にキラキラの微笑みを浮かべて
寝室へと入っていった。