宗主国の皇女は、属国で幸せを見つける

「今のそのままの貴女が1番輝いているよ。宮廷の女王は貴女なのだから、何も恐れることなくのびのびとやりなさい。」
フィロメナの胸の内をまるで見透かしていたかのように、
前国王は優しい言葉でフィロメナを励ました。
そして息子をもう一度見上げる。
「息子よ、もう何も心配はいらないようだな。ジュリアのことは私に任せない。」
「ありがとうございます、父上。」

前国王夫妻が帰ったあと、
2人は離宮の中庭にあるパティオに移動した。
「フィロメナが王妃のままでいてくれて嬉しいよ。」
「陛下はズルいです。国民たちからあんな風に言われたら私が断れるはずありませんでしょう?策士ですわね。」
そう言ってフィロメナはくすくす笑う。
国民たちから必要とされているという事実が
フィロメナに自信を与えたようだ。
彼女の自然な笑顔にオルランドも思わず頬がゆるむ。
「今のフィロメナが1番綺麗だ。」
フィロメナは驚きで目をパチクリさせ、
その後俯いて
「そんなことありません」と小さな声で言った。

フィロメナが自分の容姿を卑下していることを
マーゴやレナートから聞いて
オルランドは知っていた。
そしてその背景も。
フィロメナには自分に自信を持って
堂々としていてほしい。