宗主国の皇女は、属国で幸せを見つける

「母上、私とアドリアーナを慈しんで育ててくれたことに感謝申し上げます。ルドヴィカ様から託されたサレハも、良い縁に恵まれてもうじき嫁ぎます。もう母上が心配することはございません。これよりは、父上と静かに余生を過ごされてはいかがでしょう。父上と母上が生活に困らないよう、私も十分に支援いたします。」

言葉を選びつつ、
オルランドも王太后に隠居を勧める。
最愛の夫と息子の２人から説得されて、
王太后は静かに同意した。
国民から「誰、あの人？」と言われたのが
よほど恥ずかしかったのだろう、
ずっと夫の影に隠れるように立っている。

「それに我が娘がこんなに美しい人だとは嬉しい驚きだよ。以前会ったときは、気難しい印象を受けたものだから。」
前国王はフィロメナにも声をかける。
今度はフィロメナが顔を赤くする番だ。
「お義父様におかれましてはお久しぶりでございます。前回お会いした時はその、私もだいぶ緊張しておりまして気難しい顔になっていたかもしれません。」
慌てて弁明するものの、
ようは化粧が濃くてケバかっただけだ。