宗主国の皇女は、属国で幸せを見つける

フィロメナが王妃に留まると約束したことで、
それに満足した国民たちは
1人また1人と帰って行った。
人もまばらになっていく中、
立ち尽くしている老夫婦の姿が目に入った。

(あのお二人は・・・!!)
フィロメナにサッと緊張が走る。
そんなフィロメナの手を
オルランドは優しく握りしめた。
「怖がる必要はない。私がついている。行こう。」
そう言って老夫婦の元へと一直線に向かった。
「一部始終をご覧頂けましたか?王太后陛下。」

そう、
老夫婦とは譲位した前国王と王太后だったのだ。

「母上は以前、『王家は国民の支持を得てこそ存在意義がある』と教えてくださいました。ご覧になったでしょう?我が国の実に9割を占める国民がフィロメナを熱狂的に支持する様を。そんな彼女のどこが王妃に相応しくないのか、私には理解できかねますが。」
「それは、だって・・・貴族たちは反対して、、、」
「母上はたった1割の意見で物事を判断するのですか?国民の意見は無視ですか?それは人の上に立つ者にふさわしくないですね。」
いつもの自信満々な威勢はどこへやら、
ぐうの音も出ない現実を突きつけられて
王太后は反論のしようが無いようだった。