宗主国の皇女は、属国で幸せを見つける

「せっかくだから踊ろうか。」
突然、斜め上の提案がオルランドからなされた。
(私がずっと踊りたかったって解釈されたのかな?)

オルランドは控えていた侍従に命令して
テーブルを隅の方へ寄せさせる。
そのまま美しい調べに身を任せ、
2人は初めてダンスに興じるのだった。

「こうして2人で踊るのは初めてか。」
「そうですね。でも陛下がとてもお上手なので、楽しいです。」
「それは私の台詞だ。フィロメナがこれほど優雅に踊れたとは。私はずいぶん勿体ないことをしていたと反省してるよ。」
2人はそのまま5曲ほど踊り続け、
さすがに疲れたとダンスをやめる。
2人ともわずかに息が上がっている。
「少し涼みに行こう。」

オルランドのエスコートでバルコニーへと移動する。
夜風が気持ちよく、
2人の身体をクールダウンさせる。
「明日の朝、もう一度ここへ来てくれないか。」
「朝食もご準備いただけたのですか?」
「朝食、、、確かに久しぶりにフィロメナと一緒に食べるのも悪くないな。でもそれよりも君に見せたいものがあるんだ。」
「見せたいものって何でしょう。」
「それは見てのお楽しみさ。」
オルランドは悪戯っぽく笑うばかりで
何を見せたいのかは最後まで教えてくれなかった。