宗主国の皇女は、属国で幸せを見つける

「国王陛下はドラゴニア帝国に取られてしまったオリヴィエラ様をずっと気にかけておられました。もちろん孫娘である貴方様のことも。フィロメナ様は今、お幸せですか？」
ヴィットリオの問いに
フィロメナはどう答えようか逡巡した。

「ドラゴニア帝国にいた時よりも穏やかな毎日よ。ここには私にも役目があるし。お祖父様には私は元気だと伝えて。それからいつか是非お会いしたいと。」
幸せだとは答えられなかったが、
顔も見たことのない孫娘を気にかけてくれる
祖父に少しでも安心してほしい。
ヴィットリオともっと話したいと思うフィロメナだが、
はっと我に返って周囲の視線を探る。
変な噂でも流されたら大変だ。

「あの、良かったら踊りませんか？」
フィロメナはヴィットリオに提案する。
「エスメリア王国についてもっと聞きたいの。けれど2人きりになるのは立場上良くないし、、、」
フィロメナの言いたいことを汲み取って、
ヴィットリオはダンスに応じる。
「そういうことなら承知しました。私でよければお相手願えますか？」
フィロメナはダンスを踊る機会があまりなかったので、
ダンスにはあまり自信がなかった。
上手いのか下手なのかもよくわからなかったが、
相手に失礼のないぐらいにはこなせているつもりだ。