思えばサレハは確かに
いつも王太后の周りにいて
王太后のお気に入りだったが、
サレハ自身が直接フィロメナに何かしたことはなかった。
いつもただ王大公に同調するだけ。
王太后が牛耳るこの国の社交界で、
上手く立ち回るためには
サレハも色々と苦労があったのかもしれない。
それに彼女は彼女自身の幸せを見つけたのだから
素直に祝福してあげよう。
どうかお幸せに。
「ドラゴニアに来いと皇太子クレオールから脅された時はどうなるかと思ったが、ヴァリニア国王の助力もあって、なんとか全てが丸く収まったよ。あ、そうそう。今日はこれを君に渡そうと思っていたんだ。」
オルランドはフィロメナに
すっと小箱を差し出した。
「開けても良いかしら?」
オルランドが頷いたのを確認し、
フィロメナは小箱を開ける。
そこに入っていたのは
老齢の男性の肖像がはめ込まれたブローチだった。
「こちらの男性は?」
「君のお祖父様にあたる、現エスメリア国王だ。」
「この方がお祖父様。どうしてこれを私に?」
その理由をオルランドが説明する。
先日、
エスメリア王国の外交官であるヴィットリオが
オルランドに謁見した。
彼の話によると
エスメリア国王はドラゴニア帝国の敗戦で
孫娘が苦境に立たされているのではと憂いていた。
ドラゴニアの影から逃れて
幸せに生きていけるように何かしたいと
この箱をヴィットリオに託した。
「それはエスメリア王国の王家の一員の証だ。お祖父様はフィロメナをエスメリア王家の一員と認められたんだよ。君が望むなら、ドラゴニア帝国皇女ではなく、エスメリア王女と生きることができる。」
いつも王太后の周りにいて
王太后のお気に入りだったが、
サレハ自身が直接フィロメナに何かしたことはなかった。
いつもただ王大公に同調するだけ。
王太后が牛耳るこの国の社交界で、
上手く立ち回るためには
サレハも色々と苦労があったのかもしれない。
それに彼女は彼女自身の幸せを見つけたのだから
素直に祝福してあげよう。
どうかお幸せに。
「ドラゴニアに来いと皇太子クレオールから脅された時はどうなるかと思ったが、ヴァリニア国王の助力もあって、なんとか全てが丸く収まったよ。あ、そうそう。今日はこれを君に渡そうと思っていたんだ。」
オルランドはフィロメナに
すっと小箱を差し出した。
「開けても良いかしら?」
オルランドが頷いたのを確認し、
フィロメナは小箱を開ける。
そこに入っていたのは
老齢の男性の肖像がはめ込まれたブローチだった。
「こちらの男性は?」
「君のお祖父様にあたる、現エスメリア国王だ。」
「この方がお祖父様。どうしてこれを私に?」
その理由をオルランドが説明する。
先日、
エスメリア王国の外交官であるヴィットリオが
オルランドに謁見した。
彼の話によると
エスメリア国王はドラゴニア帝国の敗戦で
孫娘が苦境に立たされているのではと憂いていた。
ドラゴニアの影から逃れて
幸せに生きていけるように何かしたいと
この箱をヴィットリオに託した。
「それはエスメリア王国の王家の一員の証だ。お祖父様はフィロメナをエスメリア王家の一員と認められたんだよ。君が望むなら、ドラゴニア帝国皇女ではなく、エスメリア王女と生きることができる。」



