宗主国の皇女は、属国で幸せを見つける

オルランドとフィロメナの晩餐は
非常に和やかに進んだ。

食堂のインテリアは
ピンクなどのパステルカラーで統一され、
フィロメナの好きな花が装飾に使われている。
コースのメニューも
フィロメナの好きなものを中心に構成されていた。
きっとオルランドが
マーゴにフィロメナの好みを逐一確認して
反映してくれたのだろう。
自分の誕生日でさえ
まともに祝われたことがなかったフィロメナは
オルランドの気持ちだけで胸がいっぱいになった。

「あの、食事はイマイチだっただろうか？マーゴに聞いて、フィロメナの好きなメニューを採用したつもりだが。」
オルランドが不安そうにフィロメナに尋ねる。
フィロメナは嬉しさで胸がいっぱいで
全然食事が進んでいなかったのだ。

「いえ、とんでもありませんわ。お食事、私の好きなものばかりで感動してしまって。手が止まってしまってましたわ。」
フィロメナは思わず顔を赤くして、
急いで口をつける。
「ゆっくり食べて良いんだよ。時間はたっぷりあるのだから。」

2人の会話の話題は自然と地方公務の話になる。
「フィロメナのおかげで大切なことに気づかされた。私は今まで政治や外交をきちんとこなしていたらそれで良いと思っていた。だがそれだけではダメなんだ。もっと国の様々な場所に足を運んで国民たちと交流しないと。王都を出たら私のことなんて誰も知らない、でも君のことはみんな知ってるんだ。」