宗主国の皇女は、属国で幸せを見つける

「フィロメナがドラゴニアの血を引くことは確かだが、ドラゴニア帝国がしたことに彼女は関係ない。」
「我々王家は国民の支持を得てこそ存在意義があるのです。みんながドラゴニアの女に拒否反応を示しているのですよ。これは私だけの意見ではありません。貴族たちだってみんな私の意見に賛同してくれます。」

自信たっぷりに言い切る王太后に
オルランドは思わずため息が出た。

「そうですか。ではもう母上はなんとしてもをフィロメナを認めないと、そういうことですね。」
「えぇ。アルドレインの王妃にはふさわしくないわ。オルランド、今からでも遅くない。離婚しなさい。今度こそ私が間違いのない女性を選んであげるから。」

「もう結構です。」
オルランドは王太后の提案を
きっぱりと拒絶した。
息子からの初めての拒絶に
さすがの王太后もわずかながら動揺する。
「母上が何と言おうと私の妻はフィロメナ以外にありえません。どうしてもフィロメナを追放しろと言うのなら、私も一緒に王位を棄てましょう。」
「オルランドっ!なんて馬鹿なことを言うのっ!!あなたが王でなくなったらこの国はどうなるのです。」
王太后はヒステリックに叫んだ。
オルランドを王にすることが
人生最大の望みだった王太后にとって
これはあり得ない話だったからだ。