宗主国の皇女は、属国で幸せを見つける

「あの、助けてくださってありがとう。助かりました。」
フィロメナは青年に声をかける。
「いえ、私は大したことはしていません。困っている女性を助けるのは当然のことですから。それに、、、」
青年は一呼吸おいて、フィロメナをじっと見つめる。
「私はフィロメナ様に、オリヴィエラ様の姫君にお声がけする機会を伺っていたのです。」
オリヴィエラとはフィロメナの母の名前だ。
なぜこの青年が母のことを知っているのだろう。

「どうして私がオリヴィエラ様のことを知っているのか?と言いたげなお顔ですね。」
青年に図星をつかれ、フィロメナは赤面する。
「申し遅れましたしたが、私はヴィットリオと申します。私はオリヴィエラ様の祖国、エスメリア王国の人間です。貴方様の祖父にあたるエスメリア国王の命で、貴方様に会いに来たのですよ。」
「まぁ、エスメリア王国の、、、こんな遠い国までわざわざありがとう。それにお祖父様が私を気にかけてくれてるなんて嬉しい。」
フィロメナは生まれてから今まで、
エスメリア王国を訪ねたことはない。
エスメリア王国はここからずっと西にある国で、
簡単に訪れることができないのだ。