何も話をしているんだ、と呆れる計の隣で華が目を輝かせている。

「ねぇねぇねぇ!!さっき二人といい感じの距離だったじゃん!!まさかゲーム内の平清盛と源頼朝がトリップしてくるなんて!!私、前世で徳積んだのかな?」

華の言っている言葉の意味を、計は半分も理解することができなかった。しかし、ゲームの中の存在であるはずのイケメン平清盛と源頼朝が何かの拍子で現実世界に現れてしまったことは事実である。

「あの二人、どうするんだ?このまま放っておくわけにはいかないだろ」

「そりゃあ私たちが帰れるまで責任持って面倒見なくちゃ」

華は乗り気である。計はため息を吐いた。面倒を見ると軽々しく言っているものの、自分たちはまだ中学生だ。自分たちだけの家は持っておらず、お金を十分に稼ぐこともできない。

「俺たちの家に連れて行くわけにはいかないだろ!父さんたちにどう説明すればいいんだ!」

平清盛と源頼朝は現代人の格好は当然していない。時代劇で見るような着物姿の大人を連れて帰ったら、普通の両親ならば混乱するだろう。