スラスラと答える華は、計の目にはまるで別人のように見えた。少し前まで「ホウコウって何?方向?」と華は言っていたからだ。計は少し寂しさを覚えつつも、コホンと咳払いをする。

「歴史の勉強にゲームが役立っているならいいが、テストは国語や数学もあるんだからな」

「あ〜……。国語や数学は自信ない〜!」

頭を抱える華を見て、計はクスリと笑う。

「歴史以外は教えてやる。早速今日から勉強するか?赤点取ったらスマホ没収されるって前に言ってただろ?」

「う〜……。テスト滅びろ〜!!」

華はそう言い、頭を掻きむしる。するとチャックが開いたままのバッグの中から教科書などが次々と地面に落ちた。

「あわわ!!」

「何やってんだよ……」

計と華は落ちた教科書などを拾う。その時、計はアニメキャラが描かれたクリアファイルに何枚もの絵が挟んであるごとに気付いた。

(何の絵を描いたんだ?)

気になって計はチラリと絵を覗く。見えたのは肌色の多い男性二人の絵だった。二人の体は重なり合っている。吹き出しにはこう書かれていた。