「歴史は大丈夫」。そう華が答えたことに計は驚いて一瞬言葉を失った。華は勉強があまり得意ではない。唯一得意と胸を張れるのは美術で絵を描くことだけだ。

「いやいやいや。そんなわけないだろ。お前、ちょっと前まで「邪馬台国の女王は紫式部!」とか言ってたレベルだっただろうが!」

今回のテスト範囲は平安〜鎌倉時代だ。平安時代はともかく鎌倉時代は覚える重要な語句や人物が多すぎる。華がついていけるはずがない。しかし、華は余裕そうに笑う。

「フッフッフッ。実は最近このゲームダウンロードしたんだよね〜」

華がそう言い、スマホを取り出す。そこには「イケメン⭐︎サムライ〜壇ノ浦の戦い〜」と書かれたゲーム画面が映っていた。イケメン⭐︎サムライという名前だけあり、ゲーム画面にはイケメンたちが描かれている。

「歴史の勉強になるってネットに書いてあったから始めたんだけど本当だった!!教科書に出てくる人たちがイケメン化されてるからわかりやすいの!!」