華はニコニコしながら親指を立てる。

「違うよ!確かにこのゲーム、主人公が鎌倉時代にタイムスリップしちゃうんだけど、乙女ゲームだから主人公女の子設定」

「は?じゃ、じゃあ何であの二人は……?」

「わかんな〜い。でも私にとっては幸せなんでOKです!」

乙女ゲームだと言うなら、平清盛も源頼朝も普通ならば華に言い寄るはずだ。しかし今二人が言い寄っているのは計である。

「計、何の話をしておる?」

「さっさと家に案内しろ」

華がまるでいないかのように平清盛と源頼朝は計に話しかけてくる。華は無視されていることにショックを受けている様子はない。むしろ、嬉しそうにまたスマホを向ける。

「よっしゃ!このまま3Pコースへ突入しろ!」

「何言ってんだよ!この二人何とかしてくれ!」

その後、二人が「東京を案内しろ」と言われ計が色々連れて行ったり、計の家に泊まることになった二人がどちらが計の隣の部屋で寝るかで喧嘩をしたり、計は振り回されることになった。華はただニヤニヤしているだけで、計のモヤモヤと苛立ちは募るばかり。

歴史上の有名人二人が帰れるまで、計は振り回されるのだった。