性、喰らう夢



 私の言葉を聞いて、依央ははじめのうちはふうん、と生返事をしていたけれど、私が黙っているうちに、彼は私の言葉の意図をすこしずつ理解したらしい。彼は私の手をもう一度強く握った。



「……あのさ、どういうこと、それ」

「どういうことって言われても」



 幸せの絶頂を肌で感じて、そのままそっと、一番美しい状態で消えてしまいたい。

 それこそが、私の生を構成する唯一の目的であり、意味でもあって、

 だからこそ、誰がなんと言おうとそれを捻じ曲げることができなかった。その言をなかったことにすることは、それこそ今までの生すべての否定であり、私にとってはそれが何よりも堪え難いことだったのだ。

 けれど依央は、呆然としたような様子でこちらを見ている。繋がれた手から、彼の困惑を感じることができた。



「それってさ、死にたいってこと?」



 彼からの言葉に、そっと頷いた。彼はますます信じられないといった様子で、考え事をしているのだろうか、唇を噛みながら言葉を絞り出そうとしては失敗しているような、そんな曖昧な仕草を繰り返している。



「俺は、お前と一緒に生きたいよ」



 彼の瞳があまりにもまっすぐだったので、かえって私が困惑してしまいそうだった。

 依央が私の手を強く握った。私はそれを握り返すことができなかった。