性、喰らう夢




「……嫌だったなら、ごめん」

「……」



 私は俯いたままの頭を軽く上げた。依央が不安そうな顔をしていたので、私は彼の方に手を伸ばした。それを依央が受け止める。



 それから私たちは、ぐちゃぐちゃになるまでお互いを求め合った。

 依央は優しそうに見えて、全然優しくなかったみたいだ。

 ギリギリまで突き上げた快楽を、次の瞬間にはそっと突き放す。そんなことを繰り返す彼のせいで、かえって私は彼を求めるようになってしまう。

 そんな、そんな醜い生をうっすらと感じながら、貪り合った性に羞恥心とか、あるいは恍惚だとかいった、わけのわからない感情のあり方を押し付けた。



「これ、何」



 私の左肩についた噛み跡の痣になっているところに触れながら、依央が耳元で呟いた。

 彼は、その跡の正体を知っているはずだった。なのに、どうしてわざわざそれを私に問いかけてくるのだろうか。



「や、それは、」



 彼の瞳が私を捕らえて離そうとしない。あいつの? と彼が口を動かすので、私は涙目になりながらそっと首を縦に振った。

 彼は表情をぴくりとも動かさなかった。



「……別に、妬いてるわけじゃないけど、ただちょっとむかつくだけ」



 そんな言葉だけを残して、彼はその噛み跡の上に歯を合わせた。

 鋭い痛みと共に、彼の髪の毛が首筋にかかるせいで、くすぐったさを感じる。そんな質の違う刺激が混ざり合って頭がおかしくなりそうになったので、私は身体を捩った。



「……依央、まって」



 彼は、止まる気配を見せない。