性、喰らう夢




 ゆったりとした食事の時間を終えて、私たちはブランケットを膝にかけた。いつの間にか私たちの物理的な距離が近づいていた。

 依央の肩に寄りかかるようにして、目を細める。お腹が心地よく満たされていて、なんだか手足が暖かくなってきた。これが、食後の血糖値の上昇に伴う眠気なのだろう。


 けれど、いつもならそのまま肩を貸してくれる依央の様子が、今日はすこし違かった。


 彼が右手を、私の肩に回した。彼の方から積極的に私に触れることは今まではあまりなかったので、私は少し戸惑いながら、顔を彼の方に向けた。

 彼と目が合う。

 大きくて、奥の方がきらきらして見える。そんな彼の瞳を見つめながらぼうっとしていると、ふと、彼の顔がこちらに近づいてくる。


 あ、と声を発する前に、唇が重なった。


 ぎこちなく私の肩を抱く彼の腕が愛おしくて、触れちゃいけないものに触れているような手があまりにも弱々しくも感じられて、私はそっと、全てを肯定するかのように彼の制服の裾を握りしめた。

 たった数秒触れ合っただけのそれは、簡単に離れていった。

 心臓の鼓動が速くなっているのを感じた。依央も同じだったらいいのに、と思ったけれど、彼は平然そうな顔をしている。けれど、私に触れる手は確かに熱っぽかった。