性、喰らう夢




 そのうち、依央が本格的に眠りから目覚めたようで、彼は自分の腕の中でぼうっとしている私を見てひどく驚いていた。

 依央がこうしたんだよ、と笑うと、彼はすこし気まずそうにしながら、そっか、と笑っていた。


 依央がコンビニに行ってくれた。依央が帰ってきてから、私たちはゆっくりと朝食をとった。

 私は梅のおにぎりとカップの味噌汁を、依央は菓子パンを頬張っていた。相変わらず食べるものは2人でバラバラだったけれど、むしろそれが心地よいとさえ思えてくる。

 私は私で、彼と一緒の食事に慣れ始めていた。固形物を咀嚼しても喉がつっかえることはなかったし、苦しくなることもなかった。


 今日は体育があるね、とか、週末に大雨が降るらしい、とか、そんなたわいもない話を繰り広げながら、私はカップの味噌汁をちびちびと口に流し入れた。私の食行動に対して、依央がとやかく言ってくることもなかった。


 朝ごはんをとり終わると、昨日と同じように、依央が一旦家に帰ってしまった。同じクラスなのだから、数時間後にはまた会えるのだけれど、やっぱり少し寂しくなった。

 玄関まで見送る私の頭を、彼はそっと撫でた。私はその手の感触だけを抱いて、また後でね、と無理やり笑顔を作った。寂しさを押し込めるための振る舞いでさえも、彼のためならいくらでもできると、そんなことを考えた。