私の謝罪の言葉が彼に届いたのかどうかは定かではなかった。その証拠に、彼は何の反応も示さなかった。
このまま休もうと思ったのに、何だかそのまま眠ることが怖くなってしまった。彼は何を考えていて、何を言いたいのだろうか。
そう思いはじめると、もうだめだった。ブランケットを握りながら、手が震える。眠れそうにない。
「ごめんなさい……」
今度は彼に聞こえるくらいの声量で言った。声が震えそうなのを堪えてはいたが、実際に私の声がどう聞こえているのかはわからない。
そこでやっと依央がこちらを見た。彼は私の様子を見てびっくりしたらしい。目を見開いて、そしてすぐに私の肩に両腕を伸ばしてきた。
抱きしめられる、と思ったのは杞憂に終わって、彼はそのまま私の肩にぎこちなく手を添えただけだった。彼がそれよりも距離を詰めてくることはない。
「ごめん、そういうわけじゃなかったんだ。怒ってる訳でも、怖がらせたい訳でもない。ただ、その……」
「どうしたの、」
「……いや、あの」
「……」
私の肩に添えた彼の手に、自分の手を重ねた。大きくて、ごつごつしていて、それでもその温度からは優しさを感じる。
彼の瞳の奥を覗き込んだ。彼を知りたいと、もう少し近くにいたい思った。
そんな私の想いが通じたのかどうかはわからなかったが、依央はそのまま、私をきつく抱きしめた。


