性、喰らう夢




 割と、時間が経っていたように思える。

 部屋に戻ると、壁にもたれて座っていた依央が、不安そうな顔でこちらを見つめてきた。なんとなく、彼の隣に私も腰を下ろしてみる。



「どうして、途中からこっちに居たの?」

「……2人で話した方が良いのかな、と思って。もちろん、何かあればすぐ助けに行くつもりだったけど」

「……そう」



 依央の様子が少しおかしい気がした。隣の依央の顔を見つめるも、今度は目が合わない。私は彼と意思疎通をとるのを諦めて、膝を抱えた。

 依央が、少し休めば、と言ってブランケットを渡してくる。依然として目は合わないままで、どこかうわの空みたいな感じがする。

 確かに今日は、色々なことがありすぎた気がする。祥平に、綾人くんにと、立て続けに会ったせいで、頭がくらくらしそうだった。

 けれど、目を瞑っても眠気はやってこない。

 ブランケットを握りしめながら、隣の依央に問いかける。



「依央、怒ってる?」

「別に。逆にどうして?」

「……さっきから、何か変だなって思って」



 彼は、ああ、と生返事をした。そして少しだけ考え込んだ後に、言葉を濁しながら言った。



「お前があいつとって考えると、なんか嫌」

「え?」

「色々あったんだろ」



 色々、という言葉に包み隠されてはいるものの、それに含まれている行為は、たぶん一つしかない。

 無意識に、ごめん、という薄っぺらい謝罪が口から滑り落ちた。