性、喰らう夢




 色々な感情がぐちゃぐちゃになっていて、どうしたら良いかわからなくなってしまい、私は半泣きになりながら依央と一緒に歩き続けた。

 依央はそんな私に何も言わなかった。けれど、私を祥平のところへ連れ戻そうとは絶対にしなかった。


 部屋にたどり着く頃、私はある程度泣き止んでいたが、あまりにも疲れていて、言葉を発する気にならなかった。無言のまま依央を部屋の中に招き入れたとき、彼はすこし困った顔をしていたが、彼の腕を引くそぶりを見せると、彼は諦めた様子で私の家に上がった。


 そしてテーブルの前に腰を落ち着ける。そこでやっと、私はまともに言葉を発することができた。



「依央、助けてくれてありがとう」

「……別に」

「うん、」

「……」



 依央がすこし間を置いてから、ゆっくりと口を開いた。



「あれで、良かったんだよな」



 依央が言っているのは、祥平のことだろうと思う。私は首を縦に振って、彼の発言に同意を示した。

 後ろ髪を引かれたとしても、私が祥平にひどいことをしたかもしれなくても、私は祥平に報いることができないし、祥平に対して特別な感情を抱くことはないと思っている。

 だからこそ、依央が来てくれて良かったと、そう心から思っているのだ。なのに最後、私があんな態度をとったから、依央はきっと混乱しているのだろう、と思う。


 それを依央に伝えると、彼は少しだけ苦しそうな、それでいてどこか安心したような、そんな複雑な表情を見せた。