性、喰らう夢




 彼から距離を取ろうと一歩後ずさると、祥平は三歩、こちらに近づいてきた。



「なあ、ずっと気になってたんだけど、結局依央くんとお前ってどういう関係?」

「別に、そんな」



 彼との物理的な距離がまたすこし近くなる。彼は瞬きすらせずに、こちらをじっと見つめている。



「お前が依央くんとどうなったとしても、お前は俺のところで食べなきゃだめなんだろ」

「……」

「どうして、肯定も否定もしないんだよ」



 そんなの、返答に困っているからに違いないのだが、余計なことは言わないでおくことにした。

 そんな私の様子を見て、祥平はますます機嫌を悪くした。腕を彼に掴まれた、と認識したのも束の間で、すぐに彼はその手の力を強めた。



「痛い、やだ」

「俺の方が、ずっと痛かったよ」

「……ごめんなさい」



 責められたときにすぐに謝ってしまう悪癖が出てしまっている。彼の手を振り払おうとしたが、男子の力に敵うわけもなく、私の決死の抵抗は彼の手の中に鎮められた。


 このまま、逃げ出してしまいたかった。なのに、目の前にいる彼がそれを許してくれない。

 心臓が嫌な音を立てている。早く、ここから逃げなければ、とは思うけれど、何もすることができない。


 心臓の痛さと、腕の痛さがごちゃごちゃになってパニックになる。じわり、と目の奥が不快な感触を訴えたとき、ふと、視界の端に人影が入り込む。



「何してんの?」