性、喰らう夢



 そのうち、依央がいつもと同じようにコンビニの袋を片手に提げて帰ってきた。その頃にはもう顔の熱は治っていて、私は平然を取り繕いながら、おかえりなさい、と言った。

 彼はどれがいい? と言いながら、私に袋の中身を見せてくる。

 いつものゼリー飲料がひとつ、前食べた野菜スープの味が違うものがふたつ、そして、おにぎりがふたつと、個包装のクランチチョコレートの包みが数個入っていた。

 私は少し迷って、塩味の野菜スープとチョコレートをひとつずつ手に取った。

 食べ合わせが悪そう、と彼は笑った。私も苦笑いを浮かべながら、野菜スープのふたを開けた。ふわり、とあたたかな香りが鼻腔を充満する。


 朝ごはんを食べるにはすこし早すぎるような時間だったが、私たちは顔を突き合わせて、スープに向き合った。今日は昨日よりも、もっとスムーズに手と口が動いた。



「……どうしてなのかな」

「どうしてだろうな」



 私が急に発した言葉の意味を、彼は察しているみたいだった。私が祥平と一緒じゃなくても食べられる理由と、夏目先輩と一緒じゃなくても眠れる理由が、どうしてもわからなかった、という言葉の意味を。

 けれど、理由なんてどうだっていいのかもしれない。現に今こうして、彼と一緒に食事をとることの幸せを感じているのだから、それ以外は別にどうだって良いのかもしれない。