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うとうとと、朧げな意識の中を漂っていた。こんな心地になったのはいつぶりだったろうか。
そんなふわふわとした境界線の少し先から、愛おしい声が聞こえてくる。
「何だ、寝てんじゃん」
その声で、意識が徐々にはっきりしてくる。今、優しく私の頭を撫でているのは、夏目先輩、ではなさそうだ。
ゆっくりと瞼を持ち上げる。輪郭がぼやけていても、目の前にいるのが依央だということはすぐにわかった。
「え、私……」
「……おはよ」
ぱちぱちと瞬きを繰り返す。窓の外はとっくに明るくなっている。知らない間に朝になっていたようだ。
まずは、ああ、そうか。眠っていたのか、だなんて、まるで他人事のような思考が湧いて出てくる。
そしてすぐに、夏目先輩のところじゃなくても嫌な夢を見なかった自分に、夜通し眠ることができた自分に気づいて、パニックになりかけた。どうして。
自分の手と身体感覚を確かめる。何も異常はなかった。
そんな私の様子を見て、依央がくすくすと笑う。
「よく寝てたよ、お前」
「どうして……?」
「俺に聞かれても困るんだけど」
自分の状況が信じられずに戸惑う私は、彼にとって面白かったらしい。私はひとり、あわあわと窓の外から見える日差しと自分の意識を行ったり来たりさせた。
「コンビニで朝飯買ってくるから、ちょっと待ってて」
依央は戸惑う私の頭をそっと撫でてから、静かに部屋から出て行った。
彼に触れられたところが心地よいはずなのに、なぜだか顔に熱が集まっているような気がした。


