彼の顔を見て、自分の放った言葉の意味を改めて咀嚼し直すと、自然にごめん、という声が漏れた。
「……なんなんだよ」
彼はそれだけ言うと、荷物をまとめるのをやめてしまった。ごめん、大丈夫だから、とフォローを入れたが、彼は帰る気をなくしたみたいで、ああ、なんて適当な相槌を打ちながらもその場に座ったままだった。
正直、嬉しかった。ひとりになるのが怖いから、というよりは、依央に居てほしかったからかもしれない。
とにかく、依央がここに居てくれるというならそれ以上に嬉しいことはない。なんとなく、私は彼の隣に体育座りになった。
何か言わなきゃ、と思った。彼をここに引き留めたからには、何か言葉を発しなければ、といういわば強迫観念みたいなものに支配されて、聞くつもりもなかった質問を彼に投げかけていた。
「依央、聞きたいことがあるの」
「どうした?」
「どうして私にここまでしてくれるの?」
「……前に言わなかったか?」
私たちがキモくて見るに堪えないって言ってたあれ? と聞き返すと、彼は黙ったまま首を縦に振った。
そっか、と言ってから、またしばらく考え込んでみる。
「ねえ、依央から見て、私たちのどんなところがキモかったの?」
「……自覚ないわけ?」
「ないわけじゃないけど、本当の意味を知りたい」
ふうん、と彼が鼻を鳴らす。私は隣からじっと依央の瞳を見つめる。すると彼はばつの悪そうな顔して、右手で頭を掻きながら、顔をしかめた。
「あのさあ、俺にそんなこと言わせてどうしたい?」


