だらだらと、時間だけが流れた。結局私はあの野菜スープを半分ほど口に入れて、残りは依央に渡した。多分冷めていただろうけど、それに対して彼は文句を言わなかった。
そして、それからしばらくとりとめのない言葉を交わしていたとき、ふと依央が私の方を向いて言った。
「お前は、高校卒業したらどうするの?」
「え?」
だから、卒業した後。と彼が付け加える。
初めて知ったのだが、どうやら人は、全く想像すらしていないことを尋ねられると頭がパニックになるらしい。私は目を泳がせながら、えっと、っと言葉を詰まらせた。
依央はきっと、高校卒業後の進路のことについて尋ねてきたのだろう。夏目先輩は有名私大への進学をすでに決めていて、綾人くんは医学部を受験するって言っていた気がする。
けれどそんなことは、自分の身に置き換えていないからこそ、俯瞰できる情報なのだ。
「……考える余裕なかったかも」
「まあ、そうか」
うん、と頷くと、彼はテーブルにもう一度頬杖をついた。
「依央は?」
「俺も、ずっと悩んでた」
「依央にも悩み事とかあるんだね」
「当たり前だろ。人間なんだから」
「……そっか」
自分の肩に垂れる髪の毛を掬って、人差し指に巻き付けた。それを見た依央は、私の指から髪の毛の束を奪いとって、同じように自分の人差し指に私の髪の毛を巻き付けて遊び始めた。


