依央がコンビニの袋を持ってまた帰ってきたとき、その姿に何故か安心する。
彼はビニール袋から、私のために買ってきてくれたであろういつものゼリー飲料を数個と、自分の分の野菜スープを取り出した。向こうで温めてきたのか、そのスープからは湯気が立っている。
ありがとう、といってゼリー飲料を受け取って、その白いキャップを外したとき、そろそろこの味にも飽きてきたな、なんてことを思った。
すると途端に、依央の目の前にある野菜スープが美味しそうに思えてきた。艶やかな野菜が窓から差し込む陽の光に照らされて、余計にきらきらして見えた。
「どうした?」
中々手が進まない私を見て、依央がこちらに優しく問いかけてきた。私は少し迷ってから、依央の目の前にあるスープをおそるおそる指差した。
「それ、ひとくち飲みたい」
私の言葉を聞いて、依央は物珍しそうな顔をする。お前って、それ以外も食えんの? とでも言いたげな顔だ。
けれど彼はすぐに、容器に入ったプラスチックのスプーンごと、私にスープを押し付けてきた。
そっと、掬われた半透明の液体を唇の隙間から口内に流し込む。
途端、程よい塩味に保たれたそれが、私の口内を飽和していった。暖かくて、安心するような味。祥平が作るものに比べたら確かに無機質なスープかもしれないけれど、なぜだか満足だった。
そして私はもうひとくち、それに口をつけた。


