依央はそのまま眠り続けていた。途中で起こすこともできたけれど、わざとそれをしなかったのは、彼にここに居てほしい、という私の幼稚な自己中心性によるものだった。
朝方になると、彼が身体を捩りながら、そっと目を開けた。私はその様子を、隣でぼうっと眺めていた。
彼は私の姿をその瞳の中に捕らえると、とろんとした表情とは一変して、ひどく焦った顔をした。
「え、あ、待って、俺」
「……おはよう」
「おはよう、じゃなくて。今、何時?」
「4時、とか」
「朝の?」
「朝の」
そう答えた後、はあ、と彼は深いため息をついた。
「なあ、別に起こしたって良かったんだからな。ずっとここにいられて、迷惑だっただろうに」
「別に、迷惑じゃなかったよ」
「……変な奴」
私が変なのは、今に始まった話じゃないじゃない、と反論すると、彼はその顔に苦笑いを浮かべた。
「逆に、起こした方が良かった?」
「いや、まあ別に」
「……」
また私達の間に沈黙が流れる。今度はその空気感が少し気まずいような気がする。
次に沈黙を破ったのは依央の方で、彼は、朝飯買ってくる、と言って、スマホと財布だけを持ってどこかに消えてしまった。まだ朝の4時なのに、と思ったけれど、彼なりの切り替え方なのかもしれないと察したので、私は何も言わずに彼を見送った。
彼がいなくなった後のブランケットの残骸を愛おしく思いながら、私はそっとそれを畳んだ。


