性、喰らう夢




 元々依央が少し遅い時間に来たということもあって、そのうち夜が深くなってきたが、依央は帰る気配を見せなかった。

 けれど私は、このまま依央が帰らなければいいのに、と思った。

 なぜそう思うようになったのかはわからない。けれど、そう感じるようになるのが私にとってはやっぱり自然な気がする。


 そのうち、依央が眠い、と言い始めた。少し眠ったら? と夏目先輩の真似事のような台詞を吐いてみせると、依央はこくりと頷いて、もう一度身体を床に預けた。



「……」



 そのうち、彼の静かで柔らかい寝息が聞こえてくる。すう、と呼吸を繰り返す彼が愛おしくなって、私は手頃なブランケットを彼の身体にかけた。

 彼は私によって与えられたブランケットを右手で握りしめている。

 なんとなく、彼の隣に横たわってみる。特に眠気を感じているわけではなかったし、彼に眠れと言われているわけでもなかった。ただ、彼が隣にいる感覚を肌で感じたいだけだった。


 結局、その夜私が眠れることはなかったけれど、ひとりでいるときの息苦しさはあまり感じなかった。

 多分、隣で静かに眠っている彼のおかげなのだろう、と思う。夏目先輩とか、祥平と過ごすのとはまた違う、穏やかで緩やかな時間が流れていく。