ある程度の食事を摂り終わった後、依央が休憩、といってその場でごろりと横になった。心なしか彼の顔がとろんとしている気がする。
「やっぱり、ご飯食べると眠くなるものなの?」
「だからみんな午後の授業で寝るんだろ」
「ああ、なるほど」
高身の身体を折り曲げて、潤んだ瞳でこちらを見つめる依央がなんだか可愛らしく感じられたが、私は頬の緩みを悟られないように、テーブルに顔を突っ伏した。
そのとき、寝転がっている依央が、なあ、と私に声をかけてきた。
「俺さ、お前にひどいこと言ったのかな」
「……ひどいこと?」
ああ、と彼が頷いた。私は何のことを言われているか理解できなかった。
「俺はさ、マナから夏目先輩の話を聞いたとき、正直、マナが一番の被害者だって思ったんだ。祥平に振られて弱ってるところにつけ入られて、夏目先輩に弱みを握られて、ああするしかなかったんだって」
「その感情は、間違っていないと思うよ」
「そうだけど……」
依央がまた言葉を詰まらせた。私はじっと彼の言葉をまった。そのうち、彼がまた口を開く。
「だから、お前に言ったんだ。お前の男に対する中途半端な態度が、事態をより悪化させてる、って」
でも、と彼が続ける。なんだか苦しくなってきた。
「だけど、それって、お前が置かれている状況を考えてなかったからこそ出てくる言葉だったんだなって思ったんだ」
「……」
「誰かに頼らなきゃ生きていけないって、普通に考えれば当たり前の話なのに、そもそもお前が嫌がらせを受けていい理由なんてなかったのに、それに」
「依央、もういいよ」
私はそっと、依央の言葉を遮った。


