それからというものの、私は綾人くんからのメッセージの受信の通知を切って、後はただじっと、時計を眺め続けていた。
たまに、目を閉じて頭を休ませる。覚醒水準が徐々に低下してくるが、意識が飛ぶ直前になると、眠ることに対する恐怖心が芽生えて、仕方なく目を開ける。
そんな、意味のない行いをただひたすら繰り返しながら、私は意識の狭間で時計の針の音を聞き続けていた。
何をするにも、億劫だった。けれど、考え事をする気にもならなかった。考えれば考えるほど、わからないこと、どうしようもないことが増えていくのだ。
そのうち、夜が更けて、空が白んで、また徐々に日差しが増していく。色々なひとの顔と声が、頭の中に浮かんでは消えていく。
時刻は午後3時半。最後の食事から約21時間が経過している。そろそろ体力的な限界が近づいてきた。
こんなとき、祥平がいれば、とかまたそんな自分勝手な想像ばかりをしてしまう自分が嫌だ。自分勝手な私の言動が今の自分の首を締めているのだ。
少しずつ、自分で何かを食べられるようにならなければ、睡眠への恐怖を克服しなければ、とは思う。
けれど、やっぱり何かが足りない。祥平が作るあたたかくて全てを許容してくれるような料理と、夏目先輩が生み出すあの独特な雰囲気がないと、まともに食べられもしないし、眠れもしない。
綾人くんは……少し前に、性欲は他の2つよりも崇高だと言っていたけれど、私にはどうにも理解が難しい。いつかそれを理解できる日は来るのだろうか。
そんな考えを巡らせる。


