性、喰らう夢






「どうして、今日も来てくれたの?」

「……別に」



 あまりにも長い1週間が終わりを迎えた金曜日の夕方、昨日も来たはずの依央が、同じようにコンビニのビニール袋をその手に携えて、私の家にやってきた。

 来て欲しい、と頼んだわけでもないし、彼の方から、行きたい、と言われたわけでもない。彼がなぜか突然やってきた、というだけの出来事で、嫌ではなかったけれど、すこし驚いた。


 昨日と同じように、彼が私にゼリー飲料をふたつ、投げて寄越した。昨日彼からもらったものがまだ残っている、とは言わないことにした。

 そして彼はまた、何も言わずにコンビニの袋から、今日は湯気の立ったカレーライスと、白いプラスチックのスプーンを取り出した。

 きっと、コンビニで温めてから来たのだろう。一緒に袋に入っていたであろうゼリー飲料が、心なしか少しぬるかった。



「……いただきます」

「はい、どうぞ」



 依央はこちらを見向きもせずに、目の前のカレーライスに夢中になり始めた。美味しそうに食べる彼の姿を捉えていると、カレーの香ばしい香りが鼻についた。

 私はゼリー飲料の飲み口をそっと咥えて、その中身を口いっぱいに吸い上げた。爽やかなマスカットの味が広がる。いつも通りの当たり障りのない味。けれど少し、この味にも飽きてきた気もする。