彼が甘いエールをくれたから

「食事か……いいな」
「本当? 一緒に行ってくれる?」
「打ち上げじゃなくて、〝ふたりで〟って意味だろ?」

 もちろんだと言わんばかりに、ウンウンと首を小刻みに振ってうなずいた。
 チームのメンバー全員で打ち上げはおこなうはずだけれど、それとは別で個人的にお礼がしたいのだ。

「忽那は洋食と和食、どっちが好き? 店は探しとく」
「え、筧くんの食べたいものでいいよ」
「ひとつ条件があるんだけど……」
「うん。言って?」

 彼が私のほうへ顔を近づけて瞳を射貫く。
 本当に綺麗な顔をしているから、自然と見惚れそうになってしまった。

「忽那がごちそうするのはなしで」
「え! それじゃあ、お礼にならないじゃない」

 目を見開いてあわてる私をよそに、彼が蠱惑的な笑みを浮かべる。

「普通にデートしよう」

 〝デート〟という言葉を耳にした途端、一気に顔が熱くなった。
 意識すると恥ずかしくなって、思わず視線を下げてうつむく。

 ずっとごまかし続けていたけれど……
 こんなにも胸が高鳴るのは、きっと――――ただの憧れではなく、彼に恋をしているからだ。

 ドキドキと痛いくらいに鼓動する心臓を押さえながら、彼の顔を見てコクリとうなずいた。

 私たちはこの先、どうなっていくのだろう。
 彼と一緒に、どんなことにも幸せを感じていけたらいいな。


――END.