あの噂に隠された運命に涙する

『ついに、特殊イベントが発生しました! 芽衣様争奪戦の内容を確認しますか?』

あたしは迷わず、『はい』の選択肢に触れる。
すると、新たなメッセージが浮かび上がった。

『この争奪戦のルールは、芽衣様をいかに胸キュンさせられるかが鍵となってきます』
「えっ?」

核心に迫る説明に、あたしの瞳が揺れる。

『乙女ゲームで起きる恋愛イベントを忠実にこなして、誰が一番、芽衣様を喜ばせるセリフを告げることができるのかを競うものになっております』
「あたしを?」

あたしが首をかしげると、スポナビさんは華やかなメッセージを表示させた。

『はい。制限時間は三時間。それまでに、芽衣様を喜ばせることができた時点でイベント成功。エンディングに向けたルートが表示され、どのルートに行くのかの流れになります』

語られた事実に、あたしははっとした顔になる。
つまり、恋愛イベントのシチュエーションで、あたしを喜ばせたら、エンディングに向けたルートが表示されるということなんだ。
納得していると、スポナビさんは改まって告白イベントを発生させる。

『では、まず、わたくしから告白イベントを。芽衣様のために、とっておきの愛のセリフをお持ちしましたよ』
「とっておき……?」

とても含みのある前置きだったから、あたしは怪訝そうな顔をした。
すると、スポナビさんは赤いバラの花畑のフレーム付きのメッセージを表示させる。